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間違えてタイトルのみの記事をあげてしまいました。
毎日更新を目指して四日目にだめだったって
リアル三日坊主ですね。反省します。

最近光速あまり書いていない気がしますが鋼速を書いてしまいました。
以前の記事の拍手をふと見たら、見てくださる人が引かないだろかと心配になる記事が
総拍手数一位だったので、大丈夫なんだと思って安心しました。

その記事はエッチぃ系だったので、今回痛い系です。
少しだけ痛いぐらいだと本人は思っていますが
苦手な方はご注意を。エッチぃ要素はありません。
あとメタルが若干崩壊気味です。精神的な意味で。

なんでも大丈夫だという方は、よろしければ追記よりどうぞ。

 

電気のついてない部屋の中、備え付けられた三つのモニターがぼんやりと明かりを発している。モニターを管理するためにおかれている椅子は、なぜかモニターに背を向けて置かれていた。その椅子の上には、肩に頭をもたせかけ、クイックが虚ろな視線を床に注いでいる。片方の聴覚センサーのカバーは外され、モニターに附属している大型の操作盤から伸びるケーブルが繋がれていた。高速に限りなく近い速さで走るクイックの脚は、膝の下から無惨に千切れ切断面は歪にとがり痛々しい。胸の装甲が剥がれスーツが破れて、内部を調整するための窓の継ぎ目が露になってしまっている。

 

カシャンと軽い音がして、暗い部屋の扉が開いた。抑えられた廊下の灯りでも、暗闇に置かれ続けたクイックのアイカメラは音をたてて絞りをきつくする。その暴力的な光の中を、微笑みながらメタルは進んできた。虚ろなクイックの表情の中に、怯えの色が見え隠れしている。そんなクイックを気づかうように、メタルはクイックの頬なでた。ざりと、メタルブレードの滑り止めがクイックの頬にこすれる音がする。

「大丈夫かい?」

クイックは何も喋らない。それどころか微動だにしない。真ん中のモニターに、文字が浮かび上がる。

『脚を返せ…』

その文字を読んで、傷ついたようにメタルが顔を曇らせた。自分の意思で動かせないクイックの腕を、肘掛けに押さえつける。ぎしりと、椅子が軋んだ。

「クイックだってもう現役じゃないんだ。もうどこにも行かないって約束するなら、脚を返してあげてもいい。」

傾いたクイックの頭に口元を寄せ、言い聞かせるようにささやいた。

『そんなことはできない』

聞き分けのない弟を慈しむように、メタルが柔らかく微笑む。そして、クイックの腕から手を放すと、いきなり脚の中に突っ込んだ。メタルのグローブが、クイックの脚の繊細な構造やコードを抉っていく。

『          』

モニターに、言葉にならない痛みの情報が羅列されていく。一つめのモニターを埋めても勢いが衰えず、二つめではむしろ速度が上がったようである。最後のモニターを文字が走り画面を完全に埋め尽くしたとき、メタルは指を引き抜いた。太股から下のオイルや循環液の流れは止めてあるのに、ぐちゃりと水っぽい音がして、赤い循環液がメタルの手をさらに赤くしている。

「こんなに痛い思いして、片足無くしてやっとの思い出帰ってきたのに、どうしてまたどこかに行っちゃおうとするの?」

クイックの頭をそっと両側から包み込み、自分の方に向けながらメタルが問うた。痛みの信号に呼応するように涙を流すクイックのアイカメラは、うまく像を結べないのか絞りが開いたり閉じたりしている。それでもその目はしっかりとメタルをとらえた。

『それが俺だからだ』

モニターに映されたその言葉に、メタルが怒りを顕わにする。

「なんでだ!?お前が壊れないように、必死に引き留めているのに!どうして分かってくれないんだ!」

両頬をつかんだ手に力がこもり、クイックの滑らかな人工皮膚が削げていく。極度に昂ぶる感情を処理しきれず、メタルのアイカメラからも涙が流れた。気が触れてしまったかのようなその姿を哀れむように、クイックはメタルに視線を向け続ける。その視線に、いよいよ理性を失いはじめたメタルが甲高く叫んだ。

「そんな目で見るな!!」

重い裏拳がクイックの右アイカメラを直撃し、ぐしゃっという嫌な音を立てる。その痛みをやり過ごしているクイックを、メタルは椅子の背もたれにたたきつけるように突き放した。

「絶対にださない。どこかで勝手に死なれるくらいなら、ここで動けないままでいろ!」

そう怒鳴ると足音も荒く部屋から出て行った。

 

軽い音がしてドアが閉まると、ガチャンと重苦しい錠の音がする。また薄暗い部屋の中に一人、クイックはとりのこされてしまった。皮膚がはげた頬に、右目から流れたレンズ保護用のジェルがとてもしみる。でもその痛み以上に、もうどこにも走って行けず、戦うこともできず、誰にも会えないであろうことが深く胸に突き刺さった。

『ここで生きてても、死んでるのとかわらない』

無意識的に思った言葉をコードが拾い、モニターに映し出す。半分残った視界で、何もない暗闇を見つめることに疲れて、クイックは静かに目蓋を閉じた。


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