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二次創作をのせることを目的に、ブログ運営を練習中
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一日遅れてしまいました…。
ベースは光速ですが、色々なキャラが出ています。
やたら長い気がします。最後の方が駆け足です。
CP要素は薄いですが苦手な方はご注意を!

よろしければ追記よりどうぞ。



 

一月が終わってもう11回カレンダーをめくった。日ごとびりびりとカレンダーをめくるのはとても楽しくて、いつも12月31日までびりびりとやりたくなってしまう。けれど今はあまりカレンダーをめくりたくない。

「今日は2月12日か…」

今月の14日はバレンタイン。今月頭からずっと、『お兄ちゃん甘いものぜんぜんウェルカムだよ』とか猛アピールしているメタルは置いておいて、フラッシュは何か欲しがるだろうか?フラッシュは俺になにかとくれるのだが、俺からやったことはほとんど無いと思う。備え付けてある机の引き出しの中から通帳を引っ張り出して開いた。先立つものは十分すぎるくらいある。問題はフラッシュにあげるものを買うか作るかだ。

「どうしようかなぁ…」

買うにしても、どこ行けばいいものが買えるのか分からない。作るにしても、料理とかしたことない。首をひねりひねり考えていると、コンコンと誰かが扉をノックした。どうぞと声をかけると、フラッシュが扉の裏から顔をだす。俺の顔を見た後に、俺の手元に視線が動いた。

「どうしたんだ、通帳なんか見て?」

「なんでもいいだろ!それより、なんか用事あるんじゃないのか?」

通帳を放り込んみ引き出しを押し込んで逆にたずねた。するとフラッシュはそうだったというように口を開く。

「俺、明日から野暮用で出かける」

「え、いつまでだ?聞いてないぞ!」

一歩詰め寄ると、半身だけ乗り出すようにしていた機体をわずかに引っ込めた。すこしふるえる声で、つっかえながらフラッシュは言う。

「俺も今、急に言われたんだよ。14日の夜には帰ってくるから、それでだな…」

申し訳なさそうなフラッシュの言葉に、頭の中でピーンと音がして閃いた。14日に帰ってくるとは、14日までは基地にいないということで、その間に何か内緒で手作りできればフラッシュを驚かせられるし喜ばせられるんじゃないか。

「おい、聞いてたか?」

「おわっ!」

いつの間にか俺の目の前まで来ていたフラッシュに思わず驚く。正直、我ながらすばらしすぎる思いつきを喜んでいてフラッシュが言っていたことなんて聞いていなかった。

「聞いてなかった」

若干キレ気味のフラッシュに、悪いと笑って謝る。フラッシュは一つため息をついた。視線がわずかに俺からそれてから、まっすぐに俺の目をとらえる。

「今日俺の部屋に来ないか?」

部屋の中から音が無くなる。これはつまりそういう誘いなのだろうが…。

「俺明日早起きしないといけないから今日はむりだ」

フラッシュはクラッシュボムで吹っ飛んだ時くらいの衝撃を受けたような顔をした。心なしか、顔が装甲と同じくらい青く見える。何事かぶつぶつと呟いて、よろりと背を向けて扉にふらふらと歩いて行く。あまりの落ち込みように、言い方が刺々しかったかと反省する。軽く床をけって、フラッシュの背中に抱きついた。俺よりいくらか大きな機体は、不意打ちでもしっかりとその場に踏みとどまった。

「明日からの仕事がんばれよ、お前の部屋で待ってるからな」

少しだけ恥ずかしかったけど、イヤーカバーに軽くキスをした。

「……」

ぼっと音がするんじゃないかと思うほど、フラッシュの機体温が上昇する。無言のままかくかくとうなずいて、やや脚をもつれさせながら部屋から出て行った。

 

「クイック先輩!?どうしたんですか急に!」

バレンタインに配るものをつくるために、エプロンをしめて三ボス基地のキッチンに立っていたジェミニは、嬉しさ8割驚き2割の顔で叫んだ。隣で割烹着に袖を通していたシャドーはにこにこ笑って元気よくクイックにあいさつする。

「こんにちはでござる、まっていたでござるよ!」

「待っていたってなんですかそれ?聞いてないですよ私は!」

クイックの情報と動向に目がないジェミニはやや興奮ぎみにシャドーの肩を揺すぶった。その間にも、キッチンに入ってきたクイックはちゃっちゃっと手を洗う。そしてタオルで手をふきながら、気合いをこめるように拳を握った。

「そんな気張らなくても大丈夫でござるよ。市販のものでできる簡単なものしかつくらないでござるから」

ジェミニの手からのがれて、シャドーはクイックを安心させるようにほほえんだ。

「そうか?でも料理とかしたことないから、俺…」

しゅんと肩を落とすクイックに、ジェミニはなにやら嬉しそうに手のひらをくんでうっとり呟いた。 

「クイック先輩の初めてに立ち会えるなんて、感激です」

そんなジェミニの後ろに、そっくり同じ姿の映像がうかびあがる。

『気持ち悪いぞ』

「幽霊みたいにいきなり出てくるあなたに比べたらましです、ハウス!!」

『だから!オレは犬じゃない!』

ぎゃんぎゃんとケンカを始めたジェミニとホログラムを脇に置き去りにして、シャドーはてきぱきと何をつくるか説明をする。その説明をクイックは真剣に聞き、緊張した面持ちでうなずいた。

「ということで、まずはチョコを包丁で切っていくでござるよ」

ぴりぴりとチョコレートの銀紙をはがしてまな板にのせ、シャドーは包丁の柄をクイックに向けて刺しだした。

「わかった」

あいかわらず緊張した面持ちのクイックは、包丁を手に取るとゆっくりと頭の高さまで振りかぶった。そしてシャドーが止める間もなくその包丁はチョコレートめがけて振り下ろされる。ダンッという音がして、チョコレートがまっぷたつに切れた。ついでに、まな板にも半分ぐらい切れ込みがはいった。

「先輩左手をそえると切りやすいですよ」

「そうなのか」

「切るというよりは、端から削るという感じでやるといいでござるよ」

『…いろいろスルーされてる気がするんだけど』

クイックの珍行動に対してあまりにもジェミニとシャドーが無反応だったので、ホログラムは自分がおかしいのかとそっと呟いた。しかし、湯煎用のお湯を沸かしはじめたジェミニがにらんできたので、それ以上は何も言わずに口をつぐんだ。

「こんなもんか」

「そうでござるな。これはこっちのボウルにいれて、湯煎はジェミニ殿にまかせてつぎにいくでござるよ」

まな板の上のチョコレートをボールの中にいれてジェミニにわたすと、シャドーは冷蔵庫から牛乳を出してきた。

「次はマフィンでござるが、小麦粉はホットケーキ用のですでに砂糖が入っているでござるから牛乳をはかり入れて卵を割るだけでござる」

少し自信がついたクイックは並べてあった計量カップを手に取り、シャドーから牛乳パックを受けとたった。きっちり計って、ボウルの中に入っているチョコレート色をした小麦粉にたらす。そして手際よく卵を割りいれる。

『卵は普通にわれるんだな』

「口のきき方に気をつけなさい、消しますよ」

ジェミニの肩からのぞき込むようにクイックの手元を見ていたホログラムが呟き、ジェミニがぐさりと釘をさした。そのやりとりにクイックはかまわないと笑った。

「指先の訓練だって卵わりやらされたんだよ、メタルに」

「メタル殿はきびしいから大変でござったろう」

『というか、今思ったんだけどこの小麦粉茶色いんだけど?』

「チョコ味のですよ。時期が時期だけに普通のよりたくさん置いてありましたよ」

「そうなのか!?ホットケーキ用の小麦粉って茶色いんだって思った!」

「ホットケーキ食べたことないのでござるか?」

「食べ物って少ししか食べられないから俺たち」

「私たちだってそうですよ。ぱかぱかものが食べられるのはシャドーと後期ナンバーズくらいです」

『あ!チョコ完全に溶けたよ!』

「マフィンの生地もできたでござるな」

喋っている間にも、作業は順調に進んでいた。買ってきたアルミの型にチョコを流し込み、紙の型にはマフィンの生地を流し込む。とんとんと一つ一つならして、後は焼くだけ冷やすだけだ。案外簡単にできて、クイックはほっと胸をなでおろした。

「いきなり頼み込んだのにありがとな、シャドー、ジェミニ」

「先輩の役に立てたならそれで満足です!」

『ほとんどシャドーにたいしてのありがとうだと思うけどな』

きっとホログラムをジェミニがにらむのとほぼ同時に、電子レンジがチンと鳴った。

 

 

 

メタルに頼まれたあれやこれやを片付けて、家路についたのは14日の夕方だった。待っていてくれるといったクイックの元へ、はやる気持ちが自然と脚を急かした。基地に入って、メタルに報告を入れようとまず談話室へと向かう。ノブを回すのももどかしい。扉を開けて中に入ると、そこにはほぼいつものメンツが集まっていた。テーブルの上には色とりどりの小さな包みのチョコがばらっと置いてある。

「あ、フラッシュお帰り!」

食い入るように四角いチョコを見ていたヒートが顔をあげて笑う。ウッドとクラッシュが続いてお帰りと言ってくれた。それにただいまと早口に返し、部屋の中を見回す。

「メタルは?」

「メタルがなに?」

楽しげにどれにしようかと話し合っている弟達を眺めていたバブルが、俺のことを刺し殺せそうなほど鋭い眼差しでにらんだ。ウッドが心配そうに俺の方を向いた。

「あのな、メタル、バブルにこのチョコもらえなくていじけて部屋に引っ込んだ」

クラッシュはヒートと、どういうルールなのか知らないがじゃんけんをしながら俺に言う。ふんと、バブルが軽く鼻をならして頬杖をついた。二人の問題のようなので、そっとしておくことにする。

「じゃあ、今行ってもだめか…」

「報告?それならバブルにいってもらいなよ!」

ヒートが恐ろしいことをにこやかに言い放った。油が切れたようにぎぎっと俺の首がなった。恐る恐るバブルを見ると、ぶすっと宙にらんでいる。とてもじゃないが何か話しかけられるような雰囲気ではない。だが、クイックが待っていると思えばなんでもできる!

「あの、バブル…さん。無事やり遂げたと、その…」

「…分かった」

言い終わる前にバブルはそういってイスから立ち上がった。俺は一瞬びくっとする。なにか見返りを求められるかと思っていたが、特にそういうことはなかった。ゆっくりと俺の横を通り過ぎ、談話室を後にするバブルの手には綺麗にラッピングされた紙袋が握られている。

「…痴話げんかか」

「聞こえてるよ」

閉まった扉の向こうから、地を這うような声が聞こえてきて飛び上がった。

 

自分の部屋まで駆け足気味にたどり着くと、思わず勢いよく扉を開けてしまった。

「お帰り、お疲れ!」

ベッドの上でごろ寝していたクイックはがばっと飛び起きる。そして、にっと悪戯っぽく笑って手招きした。ただいまというのもそこそこに、手招きに引き寄せられてそばによる。すると、クイックは足下に置いていた紙袋の中から透明な袋に入ったマフィンとチョコを取り出した。

「やる!」

見たところ中に入ってるお菓子は手作りのようだ。なんでこんなお菓子をもらえるのか不思議で、真顔になってしまう。俺の顔を見つめていたクイックは反応の薄さに怒ったのか、べしんと頭をはたいてくる。

「リアクションうすいなお前!来年のバレンタインなにもやらないぞ!」

「そうか、今日バレンタインだったのか!」

クイックは手作りで用意してくれたのに、俺はなにも用意していない。ぐるぐるとどうしたらいいか悩んでいると、クイックが目の前でひらひらと手のひらを振った。それではっと正気に戻る。

「すまん、俺はなにも用意してない…」

何をして埋め合わせようかとあれこれ考える。そんな俺の手を、クイックはおずおずと握ってきた。驚くほど高い機体の温度に、クイックの顔をまじまじと見つめるとふいっと視線をそらされてしまう。

「俺をやるっていうのでいいか?」

「キザなこと言うな!」

といいながらも抱きしめてくれたので、俺もそっと抱き返した。

 

 

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