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久しぶりで申し訳ないです。
しかも3日ですが…。

前半光速な感じです。若干クロスオーバー的な表現があります。
苦手な方はご注意を。

よろしければ追記よりどうぞ。


「今日2月2日だな!」

俺のベッドにごろねしながら、クイックはうきうきと言う。イベントごとが好きらしいクイックの話についていけるように、最近世界中の行事をざっと調べてみていた。

「節分だな」

内心ガッツポーズしながら、ごくなんでもないように返事をする。それを聞いてクイックはわずかに間をおいて、クスリと笑った。

「それは明日な」

デスクの上に広げたパソコンから上げようとした顔を、思わずパソコンに近づけてしまった。空振りした知識ほど恥ずかしいものはない。物知りで売っているだけにいっそうダメージが深かった。

「お前でもうっかりまちがえとかするんだなぁ」

軽いかけ声と共に上体を起こしながら、俺の顔をのぞいてきた。クイックはいつも通り笑っているだけなのに、馬鹿な奴だと思われている気がする。

「うるせぇ、お前がさも何かありますみたいに言うからだろ!」

八つ当たりの責任転嫁とは我ながら子供っぽいと思った。しかも、そんな心情を見透かしたようにクイックはまた優しく笑う。ついでに、とんできてごんと一発ぶんなぐってきた。

「なんかあるだろ、今日!」

さっきの笑顔何だったんだろうと思う。それほど怖い顔が目の前にあって息をのんだ。必死に今日が何の日か思い出そうとした。だが、イベントごとや行事については何一つヒットしてこない。

「すみません、分かりません…」

いつの間にか背もたれの可動域いっぱいまで追い詰められていた俺は素直に言う。クイックは不満そうに一つ息をはいた。

「バブルは分かったぞ!」

俺の膝の上に腰を下ろしながらクイックは首を振った。やれやれとでも言いたげなその行動にややかちんとくる。

「バブルとクイックだけのローカルな行事なんって痛ぇっ!」

額にデコピンを食らわせながらクイックは腕を組んでふんぞり返った。

「口ごたえすんな!エアーだってクラッシュだって分かったぞ!」

「それはお前がヒントいっぱい出したからだろう!?」

「そんなことない!2月2日で俺達に関係あることだとしか言ってない!」

「俺は2月2日しか聞いてませんでした!」

ぎゃあぎゃあやり合っていると、不意にイスが倒れた。ものすごい音がして俺はしたたか腰を打つ。とっさにクイックが床にぶつからないように抱き込んだ。

「昼間から感心しないなぁ」

クイックに損傷が無いことをひとしきり調べていると、扉の方で声がした。見なくても分かる声の主メタルは、首をかしげながら素っ気ないそぶりで立っている。しかし、顔の半分をマスクで覆っているくせに目がはっきり興味津々といっている。

「…ノックぐらいしろ」

「したよ?でも、中ですごい音がしてたから気づかなかったのかもね」

しれっと言う。食い下がっても無駄だと分かっているので、何とか文句の言葉を飲み込んだ。黙って立ち上がり、クイックを引き起こす。そして一回深呼吸した。

「何のようだよ」

「フラッシュに用じゃなくて、クイックに。運送屋さんが来てるよ?」

「ケーキ頼んだんだよ、時間指定してんの忘れてた。ちょっと行ってくる」

走り出そうとしたクイックにメタルが言い聞かせる口調で話しを続けた。

「あまり他人にここの住所教えちゃだめだよ?」

「てか、この基地に住所とかあんげふっ!」

腹にグーで一発入れながらメタルは腰に手を当てた。

「話しの腰を折らないようにね。分かった、クイック?」

「なんか訳ありそうな兄ちゃんで、仕事がしたいって言ってたからつい。次からは気をつける」

素直にごめんなさいしたクイックに、メタルは微笑んだ。それが合図であったかのようにクイックは風のように走り去った。

「今日って、何の日なんだ?」

ずきずきと鈍痛をうったえる腹を押さえながら、部屋からでていこうとするメタルにそっと聞いてみた。メタルは少し振り返って、ふっと悪戯っぽく笑う。そして何も言わずに行ってしまった。

「何の日なんだよ…」

誰もいない部屋に問いかけても、答えは返ってこなかった。

 

誰か談話室にいる奴に聞こうと行ってみれば、クイックがいないだけでみんな集合している。それが今日という日の重要性を示しているようで、ごくりと生唾を飲んでしまった。

「おいクラッシュ、今日何の日だ?」

手近にいたクラッシュに小声でたずねると、クラッシュは目を丸くして俺のことを見上げてきた。

「フラッシュ今日が何の日か知らないのか?」

だいぶ大きな声でそういったクラッシュを、エアーがたしなめるように言う。

「お前だってさっきクイックに言われて知ったんだろうが」

「ていうか、クイックって本当にイベント好きだよね」

ヒートが楽しそうに笑う。ウッドがそれに相づちを打った。

「自分で作っちゃうくらいだからね」

「あいつが勝手につくったイベントの日なのか!?」

そんなの分かるわけ無いと叫びそうになって、ここにいる俺以外みんな知っているのだとしたら俺一人鈍感かアホか仲間はずれのようではないだろうかと思い口をつぐんだ。

「フラッシュはねぇ、何の日だか分からないんだって」

さらっとメタルが言う。踏みとどまった崖っぷちから突き落とされた気分だ。

「しょうがないよね鈍感だから」

頬杖をついて本を読んでいたバブルが、やたら刺々しい声音言う。とても走って逃げたい気分になってきた。白い箱を抱えてクイックが談話室入ってこなかったら、実行していたかも知れない。

「遅かったねクイック」

「なんか話しがあって話し込んじまった。と、みんなそろってんな!」

全員の顔を見渡して、クイックがにこっと笑った。クラッシュがタカタカとクイックに走り寄った。

「フラッシュは今日なんの日かまだ知らないって」

優しさから報告してくれたのかも知れないが、正直余計なこと言いやがってと思った。

「なんだよ、まだ分からないのかよ」

呆れたように言うクイックに、反論する元気もない。うなだれていると、クイックが箱をテーブルの上に置いて蓋に手をかけた。

「今日博士2ボスの基地に帰ってくるっていうからその時開けようと思ったんだけど、特別に見せてやるよ」

丁寧に蓋を上げると、そこには白いクリームに赤いイチゴがのったケーキが1ホールあった。今日が何の日だか記されているチョコのプレートに書かれている言葉は…。

「ハッピーバースデー、ジェット?」

じぇっとまんなんて、いただろうか。というかいたとして、そいつの誕生日が俺達と何の関係があるというのか。

「あれ、これ運送屋の兄ちゃんのじゃね?」

素早く蓋を閉めると、クイックは白い箱を軽く小脇に抱えた。

「ゆっくり走らないと中身大変なことになるよ」

バブルが本から目を上げてクイックに言った。あぁと軽く返事をして、クイックは走っていった。今ならクイックの脚であれば十分間にあうだろう。

「結局、今日って何の日だったんだ?」

「2月2日で2ボスの日」

異口同音にそう言われて、妙に納得してしまった。

 

 

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