10月がエアーの月だと、これを書いている途中に気づきました。
キャラに偏りがありますが2ボスが喋っているだけの話しです。
個人的にエアーがとても好きなので
一人楽しすぎるSSになっている感が否めないかもしれません。
多分、長めです。
よろしければ追記よりどうぞ。
気温が下がり木々も色づきはじめる季節。冬を運んでくる風にはらはらと落ちる葉が物憂げな秋。窓辺に立ち一枚二枚と積もっていく落ち葉を見て、エアーは一つため息をついた。
「落ち葉の季節だね。」
ぺたぺたとエアーの隣まで来て、窓の外を見ながらバブルが言った。
「そうだな…。」
いつものような覇気のない声を出すエアーをちらりと横目で見て、クスリとバブルが笑う。
「何がおかしい。」
「いやね、ぱっと見この風景に感じ入ってるみたいで面白くて。」
エアーはあまり感情のゆらぎがなく、何かを見て感動したりすることがあまりないことを知っているバブルは、真にエアーをへこませている原因が分かっている。その原因と、エアーをよく知らない人が起こすであろう勘違いのギャップが、バブルには面白かったらしい。とうのエアーは笑い事ではないといわんばかりに、またため息をついた。
「そういう風に、俺は思えないな。プロペラに入りやしないかとひやひやする。明日の庭掃除は大変そうだ。」
武骨なエアーにとって、誰かの心を動かす落ち葉も自分の与えられた仕事を邪魔するものでしかない。ましてや自分の命ともいえるプロペラにつまる可能性さえあるという、すごく頭の痛い厄介なものである。それでもウッドが代わるといっているのに、自分の仕事だからと、今でも黙々と庭を掃き続けるエアーは変なところで頑固だと思い、またバブルは一人で笑ってしまった。
「何がおかしい。」
「うん。君も、おかしなところがあって少し安心したんだよ。」
にっこり微笑みかけてくるバブルに、心外だといわんばかりに顔をしかめる。その嫌そうな顔がまたおかしくて、バブルはこらえ切れずに声を出して笑った。
「あっ、エアーいたよ!」
笑い続けるバブルを、どうしたものかとエアーが悩んでいると、少し遠くで明るい声がして、ヒートが走り寄って来る。その後ろから、だかだかと走るクラッシュとゆっくり早足で歩いてくるウッドが見えた。
「ほら、走っちゃだめだよ。」
「うん、わかった。次から気をつける。それよりエアーにわたしたいものがあるんだよ。」
あまり反省の色がないヒートに追いついたウッドが、なにか白い布のかたまりをエアーに手渡した。
「みんなで作ったんだけど、どうかな?」
はにかむように微笑んで、小さく言うウッド。受け取ったエアーは、その布の固まりをぱさりと広げる。丁寧にたたまれていたそれは、白い手術着みたいな服だった。
「庭はくときにつけるエプロンをね、作ろうと思ったんだけど、エアー首ないでしょ。だから洋服みたいに着られるエプロン作ってみたんだよ。」
ウッドの代わりにヒートが説明し、クラッシュがかくかくとうなずいている。よく見てみればそのエプロンは長い袖の口がしぼってあり、ものに引っかかりにくいようになっていて、おなかの辺りについたポケットにピピのステンシルがしてあった。
「この形を提案してくれたのはフラッシュで、ここのステンシルの型も抜いてくれたんだ。全体はぼくとヒートで切ったり縫ったりして、ステンシルを押したのはクラッシュなんだよ。」
おずおずとそう説明するウッドは、気に入ってもらえたかどうかとても不安なようだ。バブルは広げられたエプロンを今一度見る。この基地にミシンは無いのに、縫い目は細かくて丁寧で、手先の器用さ以上に二人の根気に驚いた。そして、ピピのステンシルも少しだけはじがにじんでいて全体としてはそこそこのできでも、クラッシュにとってはとても大変な作業であったことは容易に想像できた。
「エアーは愛されてるねぇ。」
エプロンを掲げたまま、動かないし喋らないエアーにバブルは言った。
「…そうだな。」
少し水分を含んだ声色で、小さくかみしめるようにエアーが返す。エプロンをおし抱くと、クラッシュ、ヒート、ウッドにむかってめずらしくほのかに笑った。
「ありがとう。」
それを聞いた三人も照れたように笑い返した。