宅のロールちゃんはどんな性格をしているのだろうと思って書いてみました。
書いてみたんですけれど、趣旨が変わってしまいました。
クイックとロールちゃんがだべっているだけの文章です。
よろしければ追記よりどうぞ。
「あら、変なところで会ったわね?」
生活用品売り場、広告の品特価とフリップがでているトイレットペーパーが山のように積まれた棚の前で、ロールは珍しいロボットに出会った。胸の赤い装甲に頭の黄色い角飾り。そのロボットは街のスーパーでは普通出会わない戦闘用のクイックマンである。
「俺達だって買い出しすんだよ!」
ロールは真剣な顔でトイレットペーパーとにらめっこするクイックに、ふと感じた疑問を投げ掛けてみた。
「あなたたちって、トイレ入るの?」
ぴきっと音をたててクイックが固まった。ぎぎっと音をたてながら、ロールに顔を向ける。どよーんとした視線がロールをとらえた。
「お前はすんのかよ!」
「やだ、女の子になんてこときくのよ!」
「なんだよ!自分が聞かれて嫌なこと人に聞くなよ!」
端正な顔立ちとはうって変わって、子供のような物言いと主張にロールは笑いを抑えられなかった。くすくす笑うロールに、クイックがむっとすると一段と笑みを深くする。
「私よりも大人っぽい顔してるのに、子供みたいね。」
「俺はお前よりも製造年月日が後だからどうせ子供だよ!」
ぷいっとそっぽを向き、いじけたように早口でそう言った。ますますおかしく思えたが、ロールは笑うのを我慢してクイックにたずねた。
「なにか困ったことでもあるの?」
すると、そうだったそうだったと言いながら、首をひねった。
「どれが一番肌ざわりいいのかなって。」
多分どのトイレットペーパーを買うのか忘れてしまったんだろうとあたりをつけていたロールは、クイックの答えに少し驚いた。そして、なにも驚くことなどないと思い直した。
「あなたも、生みの親の博士が大事なのね?」
今度はクイックが驚いたようで、少し考え込んでからゆっくりとかみしめるように答える。
「大事だよ。お前だってそうだろ?」
ロールは深くうなずいた。同時に、少しだけ自分の思いこみを恥じた。ものを壊して人を困らせるばかりの存在では無いと分かっていても、どこか思いやいりなんかがかけているように思っていた。そんなことは無かったと、クイックの言葉に気づかされた。
「予算とかあるの?」
「んー、これくらい。」
どこから出したのか、がま口をぱちんと開けて中を示すクイック。
「一つでいいの?」
「うん。このかたまり一つでいいんだって。」
手近にあった一袋をぽんと叩いたクイックに、ロールが優しく微笑みながら指をさす。
「私はトイレ使わないから分からないけど、ライト博士はこれが好きみたいよ?」
「そうなのか。じゃあ、これにしようかな。」
ロールに言われたものを持ち上げると、クイックは少し照れくさそうに呟いた。
「ありがとな。」
「どういたしまして。」
生真面目にそうお辞儀をしあう二人。するとなぜか、どちらともなく笑い出す。その笑い声は楽しそうで、人が来るまでしばらく続いた。