注意は1に参照でお願いします。
今までの経過をざっくりまとめてみました。
クイック→複電に兄弟的な好きを感じるようになった。
コピエレ→速にラブを感じ続けているも一歩踏み込めない様子。
こんな感じです。あれだけ書いてこれだけの情報量って…。
すみません精進します。
よろしければ追記よりどうぞ。
コピーエレキがクラッシュの戦闘訓練の面倒見るようになってから、俺の相手はメタルがしてくれた。その日もメタルとの訓練を終えて、軽いメンテを受けるためにメンテ室に行く。扉を開けて中に入ると、焦げ臭いにおいが嗅覚センサーをかすめた。臭いの元は探すまでもなく、目の前の修理台の上の、白いスーツやオレンジの装甲が所々すすけたり焦げたりしているクラッシュだと分かった。
「派手にやったね。」
淡々とした声色で、座ったクラッシュを拭いているエアーにメタルが言った。
「まだ自分の武器がうまく使えないみたいでな…。」
エアーが痛々しそうな雰囲気でそう答える。ふと、相手をしていたコピーエレキはどうなったのだろうと思った。
「コピーエレキは?」
自分でも不思議なくらい声が震えた。メンテ用の器具を整えていたメタルでも、クラッシュの腕を持ち上げて汚れをぬぐっているエアーでもない奴がその疑問に答える。
「まだ動いてたよ。」
わずかに舌っ足らずな発言の主は、ゆっくりと俺の方を見た。鳥のくちばしのようなバイザー越しに、クラッシュと目があった。その目がにこっと細くなる。無邪気な笑顔から、背筋が凍るような言葉が飛び出した。
「壊し損ねちゃった。」
その時俺がどういう顔したのかは俺には分からない。ただ、おびえたようにクラッシュが震えるのとほぼ同時に、弾かれたようにメンテ室から飛び出していた。
いくつかある訓練場の一つに、あっちこっち黒焦げているものがあった。でもその部屋の中には、なにもなかった。だだっ広い基地の中、どこにコピーエレキはいるのだろうか。思い返せば、コピーエレキはどこからやってきていたのだろう?居住スペースをくまなく探しても、コピーエレキは影も形もない。まさかと思いながら、外にある廃棄場に走っていく。そこにはさびて使えなくなったこまごました物が捨ててあるだけで、コピーエレキはもちろん、ロボットは一体もいなかった。ここにいないなら一安心できるはずなのに、姿が見えないせいで全く安心なんてできない。
「どこにいるんだよ…!」
呟いても誰も答えない。あてもなく走り出そうとしたとき、箱いっぱいに鉄くずを抱えた見慣れないロボットが現れた。
「おわっ!ぼーっとつったてんなよ!」
視界を鉄くずで遮られていたそいつは、どんと俺にぶつかってそう叫んだ。頭についているハサミのような飾りがちょきんとなった。
「あ、悪い…。」
そいつは脇にどいた俺の前をすたすたと通りすぎ、どさっと箱を地面に置いた。くるりと振り返ったそいつはとてもシンプルな体つきをしている。
「なにじろじろ見てやがんだ。」
くりっと大きな丸い目をうろんと半目にして睨んできた。俺は慌てて手をふる。
「いや、なんか会ったことない気がしてめずらしくて…。」
言いよどむと、ふっと笑われた。
「会ったことなんてないっすよ。オイラはコピーカットマンっす。」
コピーカットマンということは、コピーエレキがどこにいるか知っているかもしれない。
「なあっ!コピーエレキがどこにいるか知らないか!?」
「知ってるかどうかはさておいて、名乗ったらどうっすか?」
そんなまだるっこしいことしている余裕はあまりなかったけど、たしかに名乗られたのに名乗らないのも失礼なので、ぺこんとお辞儀した。
「俺はクイックマンていうんだ。よろしく。」
俺がそう言うと、なぜかコピーカットマンがふふふと肩を揺らして笑い出した。なにかおかしなことを言っただろうか?不思議に思って笑い終わるのを待った。
「悪いっすね。あまりにもコピーエレキが言っていた通りだったから、おかしくって。」
「それよりも!コピーエレキがどこにいるか知ってんのかよ!?」
そう叫ぶとコピーカットマンは、まぁまぁと俺をなだめた。
「コピーエレキは今仕事中っすよ。」
「仕事ってどこでだ?」
発電所の、とコピーカットマンが口にした瞬間、また走り出してしまった。働いているなら無事なだろうに、なんでかコピーエレキの顔を見るまでは胸の不安が消えない気がする。
「ありがとなっ!」
思い出して大声で言ったときには、もう発電所は目と鼻のさきのとこらまできていた。