注意は1を参照でお願いします。
メタルの視点で、6と同じ時間帯違う場所でのお話です。
なので複電も速も出てきません。
ちょっとというか、とてもごちゃごちゃしています。
短いです。
よろしければ追記よりどうぞ。
「よく見ておくといいよ、クラッシュ。」
今しがた起動したばかりの新しい弟に呼びかけながら、ラボにある中くらいのモニターを指さした。どことなく不安げにきょろきょろしていたクラッシュは、言われたとおりにモニター見る。そこに映されているのは今までここにいたコペと、クイックだ。
「…これさっきの奴と、誰?」
若干怪しい呂律でクラッシュが口をきいた。
「赤い方の機体はクラッシュのひとつ上の機体で、クイックって名前だよ。」
クイック、と確かめるように呟いてモニターをじっと注視している。腰掛けている作業台から落ちそうなくらい身を乗り出していて、背後に付き添っているエアーが触れるか触れないかぐらいの所に手をさしだした。その手にも気づかないようで、じーっと音が鳴りそうなほどモニターを見つづけている。そのアイカメラが眼窩の中でふっと動く。モニターにちらりと目をやると、二人は戦闘に突入していた。
「…メタル。」
静かというよりはこもったような声が聞こえる。声の主を振り返れば、エアーが不安そうに私を見ていた。なにという代わりに首をかしげる。それを受けてまた言葉を発した。
「…なぜ起きたばかりのクラッシュに、戦闘訓練の様子を見せるのだ?」
視線をクラッシュに落としながら、そう私に質問してくる。同じようにクラッシュを見ると、無機質なアイカメラの奥底に獰猛な野獣のような光が潜んでいた。
「…できれば、もう少し後でも…。」
珍しく歯切れの悪いエアーに、笑いかける。
「たしかにクラッシュは情緒が不安定なところがある。でも、先にコペとも会わせたし、コペの戦闘の様子を見せておけば訓練がやりやすいんじゃないかと思ったんだよ。」
納得していないエアーの表情に、もう一度笑いかけた。
「というのは建前で、そろそろ決戦の時が近いんだ。コペ一人に戦闘訓練を任せっぱなしにはできないから、それに…。」
エアーがそれに、と繰り返して先を促した。
「それに、コペに壊れられても困るしね?」
基地の電気系統のシステムはコペが管理している。そのノウハウを教えてもらっているけど、まだ一人では管理しきれない。さらに言うなら、コペは大事な友人なのだ。むざむざ壊れるのを待つばかりようなのハードワークから解放してあげたい。
「大丈夫だろうか?焦りすぎではないか?」
エアーは心配そうに言う。
「大丈夫だ。」
なかば自分に言い聞かせるように、そう言った。
「むずかしい話しか?」
いつの間にか、終わった戦闘訓練を映し出すモニターに背を向け、私たちの顔を交互に見るクラッシュ。不安そうな顔には、さっきの獰猛さはかけらも感じられない。ぽんと、独特の形をしているヘルメットに手を置いた。
「ううん、違うよ。明日から動作訓練と一緒に、少しずつ戦闘訓練しようね。」
「今みたいなのか?」
そうだよと答えると、嬉しそうにクラッシュが笑った。