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二次創作をのせることを目的に、ブログ運営を練習中
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半年以上前に書いた物を掘り起こしてきました。
多少直しましたが、文章が稚拙です。
無駄に暗くて、グロいです。
若干ロボが人を殺している描写があります。

以上が許せて、何があっても動じない人向けです。
よろしければ追記よりどうぞ。



 

頭がぼぉーっとする。外部端末から入れられたことのないコードをさしこまれ、体への信号がうまく伝わらないようにされている。寝かされた台の上から動けずに、見も知らない天井から視線も動かせない。

 

ぐったりしている体から、装甲がはずされてしまう。後には軽い体だけしか残らないから、とても心もとない。かたりと胸を触られた。そこには内部を診るために四角く蓋がついている。これは外から開けられない。機密保持と自己保全のためにかけられた、本人には知らされないパスワードを発信しない限り。頭の中を、嫌な手つきで撫でくりまわされた感じがする。誰かが、何か言った。それに、違う誰かが応える。しかたないですね、とどこか遠くで声がした。何がだろうと、もやのかかった頭に一抹の不安がよぎる。次の瞬間、不安が形を持って襲ってきた。何かはよく分からないが、電ノコのような物が胸に当てられて耳障りな音をたてた。飛んできた火花が頬を焦がす。痛みはない。それが逆に恐ろしい。悲鳴をあげることもできず、されるがままになっているとガコッと胸の装甲が切り取られた。感じなくても痛みはあったらしく、思考を守るために強制終了する。目の前がブラックアウトした。

 

それから、起きる度に体のどこかが切り取られたり、内部を物理的に引っ掻き回されたりした。それはいつも俺が強制終了するまで続けられる。右手がもっていかれ、左腕をもぎ取られ、最後には何よりも大事な両脚を切断されてしまった。喪失感が、押さえつけられていた感情回路を駆け抜ける。見開かれすぎた目から、アイカメラ

の保護液が溢れた。

 

一通り、外から見える場所を観察しつくしたからなのか、脚がなくなってからは頭を覗かれるようになった。でもメタルとフラッシュのかけた六重のプロテクタは十分に機能していたから、俺の核心を侵されるようなことはない。二人に感謝だ。もう俺でいられる時間はそう長くないだろうが、最期まで自分のプライドを貫くことができそうだ。

 

内と外の攻防の激しさに、回路が焼ききれるような激痛に襲われる。痛みを逃がすために、恐らくはもう会えない兄弟と父なる博士のことを考えた。一番最後に、一番反りが合わなくて、一番俺が傷つくのをいとう弟の顔が、恋人の顔がよぎった。その時、五つ目のプロテクタが破壊される。触らせない。絶対に。俺の核心。愛しい家族との思い出。俺がふれて、見て、感じたこと。絶対に、触らせない!なり響く警告音にめまいを覚えながら、俺は自分の電脳の破壊プログラムを起動させる。俺はここでさよならだ。機体もかなりボロボロにされたから、クイックマン自体がこの世から消えちまう可能性もあるけど。もし、機体だけでもあいつのところに帰れるなら、その時は俺、嫌わないでやってくれ。その時はお前、悲しまないでくれ。

 

六つ目のプロテクタが壊されるのと同時に、俺の電脳の全てを道連れに死んでやる。そう思って、今か今かと待った。でも、待てども待てどもプロテクタが破壊される気配はない。気がつくと、けたたましい警告音は俺の中にではなくて、外で響いていた。

 

悲鳴と爆音、侵入者を報せる音。俺の頭をいじっていた奴らが、どこかへ逃げようとする。慌ててドアに殺到したらしい奴らは、また慌てて部屋に引き返してきた。俺の横たわる台を挟んで、侵入者と対峙したらしい。口々に何か喚く。侵入者が武器を構える音がする。誰かが、一際大きく喚いた。

「ロボット風情が、人間に楯突くのかっ!」

俺の上を、幾条もの弾道が駆け抜けた。有機物の体が弾け飛ぶ音がする。ばちゃばちゃと、水溜まりで跳び跳ねた時の音がした。ひとしきり呻き声がしたあと、カツンカツンと足音が近づいてくる。途中で、足音が止まった。

「クイック…。」

呟かれた声のなんと痛々しいことか。それでもその声に俺は、ものすごく安心した。今一番会いたかった、走って行って抱きしめたい。大丈夫だと言ってやりたい。でも、走って行くための脚は、抱きしめるための腕はない。なんとか視線だけでも合わせようと、首を向けようとした。微動だにしない。声を出そうとした。口すら開かない。なんともしがたい状況の中、また足音が近づいてきた。今度はちゃんとそばまで来て、俺の顔を覗きこんだ。青い機体を見て、顔を見て、俺は本当に安堵する。一気に気が抜けて、意識を保つことができなくなった。目蓋を閉じて眠るように、ゆっくり闇の中に落ちていった。

 

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