例によってちゅーもなにもないです。
二人以外にエアーが少しだけ出ています。
よろしければ追記よりどうぞ。
梅雨の合間の気持ちのいい晴れの日に、洗濯物をした。たいていが博士の服、それにシーツとか枕カバーが合わさって、結構な量になっている。よりによってこんな日に洗濯当番なんて、文句言う気はないがちょっとめんどい。年季の入った洗濯機を二回回し、かご大盛り二杯分の洗濯物を持って移動していると、エアーに会った。段ボール箱を両手に歩いているエアーは、俺の姿を見ると立ち止まって道を譲ってくれる。その厚意を受け取らないいわれもないし、腕が少々痛いので、軽く礼を言ってすれ違った。
「フラッシュ。」
後ろから呼び止められて、はてと振り返った。目が合うと、短く一言。
「夕方に雨が降る。」
「分かった、気をつける。」
立ち話を好まないエアーのために、俺も短く返答した。一度目で頷いて、エアーはまた歩き出した。俺も自分の仕事をするために歩き出す。
「おしまいっと。」
誰に言うでもなく、呟いて干し終えた洗濯物を見渡した。風に吹かれてはためき、ぱたぱたと音を立てている。たくさんの洗濯物がいっせいに風に動く様は、どことなく壮観な感じがした。庭先の木陰でしばらくその様子を見ていたら、なんだか眠くなってくる。もうこれといってやることもなかったから、ここで一眠りしようかと地面に座って木に背をあずけた。すると、驚くぐらいすとんと眠りの中に落ちてしまった。
どれくらい寝てしまったのか、強い風の音で目が覚めたとき、焦点が合わないくらいの至近距離に誰かがいた。
「ほぁっ!?」
驚きと寝起きが相まって、変な声を出してしまった。急いでアイカメラの絞りを調節すると、そこには穏やかな顔で微笑むクイックがいた。
「あ、あの、何なさってるんで…?」
俺に鼻があったら、鼻同士がぶつかりかねないほどの距離にいるクイックが、はんなり笑いながら口を開く。
「お前の寝顔を見てたんだよ。」
「…なんで?」
二人で同じベッドに寝る間柄になってから、俺の寝顔なんていくらでも見ていそうな気がするのだが。俺の内心を知ってか知らずか、クイックは少し顔を赤らめて答えた。
「…した後だと、恥ずかしくてまともに見てらんないからだよ!」
恥ずかしさをごまかすためなのか、ぼかっと俺のことを殴る。結構痛かったが、その手を取ってクイックを引き寄せた。緩く抱きあって、見つめ合う。どちらからともなく、唇を寄せようとしたとき、冷たい滴が俺の頬を打った。
「しまった!」
晴れていた空には厚い雲がかかり、雨がまばらに地面をぬらしている。
「洗濯物しまわなきゃだな!」
言うやいなや、クイックが駆けだしていた。俺もその後に続いて、手近にあったシーツをつかんだ。さらりと乾いたシーツは、とても手触りが良い。今夜このシーツの上でさっきの続きをしようと思いながら、ちゃっちゃっと洗濯物を取り込んでいった。