光速と言っていいのか若干悩みましたが光速にしました。
ちゅーもなんもありませんが、CPを意識して書いたので苦手な方はご注意を。
よろしければ追記よりどうぞ。
もうすぐサードナンバーズが全てそろう。博士はセカンドナンバーズの基地から、サーズの基地へと移って行った。メタルも助手として同行するために、部屋の荷物を整理している。俺のことをこきつかって。
「あ、フラッシュ!これ焼却処分でよろしく。」
でかい中身入り段ボール箱をひょいひょい俺に投げつけながら、忙しそうに荷造りをしているメタルに、この重たい段ボールをぶん投げ返したい気持ちでいっぱいになる。ロックマンに敗れたとはいえ、陰に日向に資金調達したりして大変なのだ。今日は貴重な休みの日なのだ。しかもクイックと一緒の!こういう日に限って用事を頼むメタルは、よほど間が悪いかわざとやっているかのどちらかだろうと思う。
「なんか言った?」
「…言ってません。」
そうと満足そうに頷きながら、また段ボールの中の書類整理に戻るメタル。怒らせると恐いので、言うこと聞くしかできない自分がもどかしい。クイックは朝から、機材搬送でトラックを運転しながら二つの基地を行ったり来たりしていて、今日あまり話していない。投げられた段ボールに焼却とマジックで書きながら、一つため息をついた。ふと、メタルの仮眠用の簡素なベッドの下に、ぼんぼん飛んでくる段ボールよりも大きな箱が置いてあるのを見つけた。メタルにちらっと視線をやると、ぶつぶつなにか呟いて書類を見ている。なにが入っているのだろう?すごく単純で子供っぽい動機から、そっとベッドの横にかがんで箱を引っ張り出した。木のようなだけど、なめらかな手触りだ。蓋にほこりがあまりついていない。中身への興味が、ぐっと大きくなった。蓋を開けようと、そっと持ち上げる。
「なにしてるの?」
「ぎゃあっ!」
いきなり耳元でささやかれて、飛び上がらんばかりに驚いた。というか実際飛び上がってしまった。しゃがんだメタルが、下からにこにこ笑って見上げてくる。怒っている顔ではなくて安心したが、子供っぽい所を見られてばつが悪かった。メタルが手招きをしたので、俺はまたしゃがんだ。
「何が入ってると思う?」
さぁ、と答えると、持ち上げ損ねた蓋をメタルが開いた。そこには、三体の小さな赤と橙と青のロボットが入っている。ふかふかしたクッションの上で眠っているようなそのロボットたちは、クイックとクラッシュと俺の試作機体だった。もう廃棄されたか、どこかを修理するためにばらされたものと思っていから、何となく、こみ上げてくるものがある。
「昼間は使ってないから、ここに置いてるんだ。」
「…俺の感動返しやがれっ!!」
「冗談だよ。やぁ、フラッシュはからかいがいがあるなぁ。」
はははと笑っているが、本当に冗談か怪しい。問い詰めようと口を開いた瞬間、背後で扉の開く音がした。
「おいっ、メタル次の荷物早く持ってこいって、なにやってんだ?」
振り向くと、クイックがずかずかと荷物をかき分けてこっちに向かってきていた。俺達の手元をのぞき込み、ぱぁっと表情を明るくする。
「なつかしいな、こんなかわいい時期がフラッシュにもあったんだよなぁ。」
ひょいと小さい俺を抱き上げながらクイックが言う。頬ずりしたり頬を突っついたりして、可愛い可愛いと一人でもだえている。そんなクイックの方が可愛いと思う。反面、試作機体の俺に負けたような感じがして嫌だ。
「そんな顔すんなよ、今のお前はかっこいいぞ!」
今度は、クイックに子供っぽい内心を見透かされてばつが悪い。かりかりと頬をかいていると、ぱんぱんとメタルが手を打った。
「はい、ごちそうさま。早く作業の続きをしよう。」
そう言ってくれたメタルに、ちょっとだけ感謝した。