ホップの続きになります。
が、続いてないように、見えるかも知れません。未熟ですみません。
ちゅーがあります。
フラッシュが黒くなってきました。
無駄に長いです。もう一回続きます。
きつめ(?)のCPものですので、苦手な方はご注意を。
よろしければ追記よりどうぞ。
初めてキスした日から、早くも一ヶ月たった。キス以上の続きはできずにいる。それでも少しずつ、キスする回数と頻度を増やしていき、今では恥ずかしがりながらも素直に応じてくれるようになった。
「フラッシュ?」
俺の部屋で車の雑誌を読んでいたクイックが、小さな声で俺のことを呼んだ。カメラをばらして掃除していた俺は、声のする方に振り返る。ベッドにごろ寝しながら本を読んでいたのに、へりに腰掛けていた。膝に置かれた自分の両手を、うつむき加減に見ている。
「なんだ?」
声をかけると、びくっと肩が震えた。目元が燃え上がる火のように赤くなってくる。もにょもにょと、形の綺麗な唇が動く。
「なんだ?聞こえな…」
「だから!キスして欲しいなって…」
勢いよく顔をあげて叫ぶように言ったが、語尾がフェードアウトしていく。まっすぐに俺を捕らえた瞳も、すぐにまた下を向いてしまった。
「へっ?」
まさかクイックからそんなこと言われるとは思っていなかったから、変な声が口から飛び出た。そのくせ次の言葉が全く出てこない。変な沈黙の後、クイックが震える声でしゃべり出した。
「いや、取り込み中なら、その、今じゃなくても…。」
相当思い切って切り出したことを察すれば、嫌だとは言えない。というか言うわけない。つきましてこれを機にキス以上のこともしたいくらいの気持ちだ。カメラを手早く元に戻して、珍しいくらい小さくなってしおらしいクイックのとなりに座った。やや間があって、恐る恐るクイックが顔を上げて俺を見る。
「今でもいいか?」
俺がそう聞くと、嬉しそうにクイックが笑い、うん、と静かに答えた。そっと、クイックの背中に腕をまわす。ゆっくりと、胸と胸がぴったり合わさるくらいの距離まで引き寄せた。軽く額の機体飾りに唇を落としてから、クイックの唇にキスをする。ふにっとした柔らかい感触の唇が開いて、温かい舌が出迎えてくれた。いつの間にか、クイックの腕が俺に巻き付いている。ぎゅうっと力をこめて来るクイックに、舌でこたえた。
「ん…」
長い間、一瞬たりとも離れずにいた唇を遠ざけた。閉じられていたクイックの目が開く。綺麗な緑色のアイカメラが、心なし潤んで見えた。
「クイック、この先をしても、いいか?」
今だ、と思ったので言ってしまった。少しだけ視線をずらして、クイックがゆっくりと頷く。きっとすごくどきどきしているのだろうと思う。俺もものすごく緊張している。クイックの背中に回した手で、胸の装甲を外した。
「あ、あのさ…」
「なんだ?」
外した装甲を丁寧に横に置きながら返事をすると、クイックがおずおずと話し出す。
「この後って、どうすんだ?その、俺達ついてないじゃん?」
黒地のスーツだけの姿で、心許なさそうに俺を見上げるクイックをしげしげと見ていると、突然胸の奥がうずいた。あれ以来感じていなかった感覚にいきなり襲われ、気のせいだと忘れようとしていた凶暴な感情を思い出した。
「なんだ、しっかり予習してきてるのか。エロい奴だな?」
押さえる間もなく、冗談めかした声色の下に鋭利な加虐心が潜んだ言葉を発してしまう。クイックの目が、大きく見開かれた。そして、くしゃりとクイックの顔がゆがんだ。
「そんなこと、そんなこと…。」
ないと言えずに、顔を赤くして泣き出しそうなクイック。その顔を見ていると、感情回路が異様なほど昂ぶった。するりと、心の奥から何かが滑り出してきた。
「悪かった、ごめんな。」
そっと頭を抱きしめてやり、優しくささやいた。頭をなでていると落ち着いたのか、緩く首を横に振った。
「初めてだし、ケーブル繋ぐだけにしておこうな。」
今度は縦に頭が動いた。それを合図に、クイックの頭の横についている端末カバーを外した。自分のカバーも外すと、自然と口が笑みの形になる。それはいつも敵と対峙するときの顔に似ていると思った。