タイトル負けしている感が否めない内容です。ギャグです。
しているわけではないですが、ぽんぽん際どいと
思われることを言い合っています。
クイックの部下のジョー視点でお送りします。
フラッシュの性格がア.リ.ガ版よりです。
あと長めです。
それでも大丈夫だという方、よろしければ追記よりどうぞ。
てことことボス部屋まで歩いて行く。基地のあちこちに設置してあるレーザービームの内、一つの調子が凄く悪い。そのことを報告しにいくのだ。
ボス部屋の前の扉は、自動ドアなので勝手に開く。今日も開いた、いつもと同じだ。だけど、いつも目にも止まらぬ速さで鍛練しているクイックマンさまが、今日は部屋の隅に止まっていた。わたしが入って来たのにも気付かなかったらしく、振り向きもしない。
「クイックマンさま?」
声をかけると、3センチほど浮き上がったように見えた。何やら変な声を出している。もしや、バグかウィルスではないだろうか?
「どうされましたか?」
てててと走りよると、クイックマンさまが慌てふりかえり何かを背中に隠した。「な、何でもない!大丈夫だっ!」
そういうお顔は真っ赤かである。何も大丈夫じゃないように見えた。そばによると、座ったままのクイックマンさまよりも高い位置に目線があり、顔を覗きこむ感じになった。
「お顔が赤いです。熱がおありなのでは?」
何でもないと繰り返すクイックマンさまが、あぐらをといた時に足が当たった。よろけたと思ったらそのまま前につんのめってしまう。幸いにもクイックマンさまの腕の下に頭が入ったので、装甲に頭突きをくらわすことはなかった。ふと、モノアイカメラが、紐のようなものをとらえる。無意識に、それを握ってしまった。
「大丈夫か?」
そう言って、抱き起こしてくださったクイックマンさまの顔が凍り付いた。わたしが握っている紐を凝視している。
「すいません、つい。」
大事な物だったのかもしれない。急いでそれを返そうと差し出すと、クイックマンさまがその手をとって私を引き寄せた。とんと胸同士がぶつかって、わたしはすっぽりとクイックマンさまの腕におさまってしまう。困惑に電子頭脳の処理が追いつかない。そんなわたしに、クイックマンさまが囁きかけてきた。
「あのさ、お前、俺のこと縛ってくんない?」
縛る?なんでわたしがクイックマンさまを縛らなければいけないのか?
ぷすぷすと煙をあげかねないほど頭を酷使しているわたしに気づき、クイックマンさまが理由を説明してくださった。なんでも、恋人のフラッシュマンさまがSMをしたいと言っているらしい。クイックマンさまは内心嫌だったらしいのだが、なんとなく引くと男がすたる気がしたのだとか。だから練習をしておくのだそうだ。変なと
ころで意地っ張りだと思う。でも、そこがクイックマンさまのいいところだとも思う。
「クイックマンさまのお役にたつなら、何でもいたします。」
とは言ったものの、SMってなんだろか?クイックマンさまに聞くのは、何か悪い気がする。そっと通信の回線を開いて、友達であるフラッシュマンさまの所のジョーに繋いだ。
SMの情報を一通り受け取って、わたしは前言を撤回したくなった。何でもする覚悟はある。覚悟はあるがそれは、クイックマンさまを痛めつけたりするような覚悟ではない。クイックマンさまの腕からはなれて、正面に正座した。
「あの、縛るだけですか?」
「縛るのがSMだろ?」
この方は分かってない。縛った後何が起こるか。フラッシュマンさまは優しいお方だ、他の基地にいるわたしにも、わたし以外にも優しい。ただ、時々ものすごく残酷なこともされるお方なのも事実だ。それを考えると、SMなんてさせられない。絶対に阻止してみせる!絶対に!!まずご自分のなさろうとしていることを知っていた
だかなくてはいけない。
「クイックマンさ...」
「クイック待て!はやまるなっ!」
自動ドアが開くのと同時に、青い機体が転がりこんできた。それがフラッシュマンさまだと分かった瞬間、意識せずに立ち上がってしまう。
「何をだよ!」
クイックマンさまが叫ぶ。フラッシュマンさまも叫び返す。
「ジョーとしようとしてることだよ!」
またまたクイックマンさまが叫ぶ。
「関係ねぇだろ!」
「いやあるだろ!なんで俺を呼ばないんだ!?」
あー、これフラッシュマンさまの所のジョーが言ってたな。なんだっけ?チワ喧嘩だっけ?
「練習なのにお前呼べるわけないだろ!?」
「んだよお前、俺がセックス下手だなって言ったら他人と練習すんのかよ!?」わたし、ここにいていんだろうか?だんだんと内容が過激さを増している。レーザービームの報告は後でにしよう。そう思ってこの場を離れようとした。するとまた体がよろけて尻餅をついてしまう。
「おい、大丈夫か?」
はたと喧嘩をを止めて、フラッシュマンさまが近寄ってきた。立ち上がろうとしたのを、手で制す。そして片膝をついてわたしの足に手を触れた。フラッシュマンさまの肩越しに、クイックマンさまが心配そうに覗きこんでくる。
「足首が熱持ってるぞ。」そう言ってクイックマンさまを見るフラッシュマンさま。クイックマンさまの視線がふよよと泳いだ。そう言えば、とフラッシュマンさまが言葉を重ねる。
「レーザーも一基おかしかったぞ?」
目をそらし続けるクイックマンさまのほっぺたをつねった。いてぇ!とクイックマンさまが叫ぶ。
「お前またメンテサボっただろ!」
「それくらいでやめてあげてください!」
涙目で、ご自分の非のために何も言い返せないクイックマンがかわいそうだ。フラッシュマンさまがわたしを見る。ドキッとした。思わず首をすくめると、ぽんぽんと頭を叩かれた。
「お前、もっと怒ったっていいんだぞ?」
つねられていたほっぺたをさすりながら、クイックマンさまがわたしに、すまんと謝られた。
「とんでもありません!」そんなわたしとクイックマンさまのやりとりを見て、フラッシュマンさまが柔らかく笑った。
結局、わたしの足を直して、レーザービームの調整をしているうちにお二人は仲直りしたらしい。
「じゃ、帰る。」
「おう。」
フラッシュマンさまはわたしにも手を挙げて挨拶してくださった。それに敬礼で返して、改めてフラッシュマンさまの優しさに感動する。クイックマンさまにSMしなかったら完璧なのにと思うと、扉の外にくしゃみが聞こえた。