かっこいいタイトルをつけるセンスが欲しいです…。
ちゅーとかはありません。かっこいいフラッシュが書きたかった
のですが失敗しています。CP要素薄めかもしれません。
よろしければ追記よりどうぞ。
敵地に乗り込むとき、クイックほど心強い味方はいない。派手に暴れ回って陽動をしてくれるから、俺の仕事は非常にやりやすい。敵地深奥部にあるマザーコンピューターへの侵入路を確保するために、管制室へ向かう途中でしみじみと思った。人間はとっくに安全圏に退避してるし、警備ロボもクイックにかかり切りになっている。自分が戦い向きじゃないことはよく分かっているので、敵と遭遇しないで自分の仕事に集中できるのは本当にありがたい。三つ目の扉の前に来て、脇のパスワード入力用の端末からハッキングしてパスコードを入手していると、クイックから通信が入った。
『わりぃ、二三体行った。』
ちゃんと仕事しろよと、愚痴ろうとしたがやめておいた。丁度開いた扉の向こうに、廊下の曲がり角から蜘蛛みたいな警備ロボが現れる。数は三体、俺に気づいたらしくがしゃがしゃと音を立てながらこっちを向いた。狭い廊下で機体を壁に機体をこすっている警備ロボは、三体が一列になってつっこんできた。管制室はすぐそこだ。そこに滑り込めばこの蜘蛛どもも追っては来ないだろうし、動きも止めることができるだろう。警備ロボが走り出してから刹那、最も安全なルートを導き出して走り出しながら思った。この手のロボは帯電したネットなんかをはいたりするのだが、体当たり一択しかないということはクイックに全部使ってしまったらしい。
「ほんとに心強いぜっ!」
蜘蛛の目と鼻の先で飛び上がる。つっこんできた速さのままに、最初の奴が俺の足の下を通過した。二体目の胴体部分に着地して、三体目も飛び越えて床におりた。後ろでガンとかゴンとか音がする。軽く首だけで振り返ると、お互いぶつかり合い方向転換にとまどっているようだ。その間に、管制室脇の入力用端末にさっきのパスコードをぶち込んで扉を開く。大きなモニターを備えている管制室に入ったところで、ようやく蜘蛛どもが団子状態から抜け出してこっちに走り寄ってきた。しかし、管制室の扉の前でストップする。よっしと、内心ほっとしたのもつかの間、胴体部分の上の方がパカリと開いて銀色の銃身が現れた。
「まじかよ!?」
まさか自軍の、しかも管制室に向けて発砲の構えをとるとは。想定外の行動に、一瞬思考停止してしまう。銃身が俺に狙いを定めた。大きな音が轟いて、結構な大きさの弾が飛んでくる。ガチャンとどこかで音がする。そして後ろのモニターにぽっかりと穴があいた。目を一回閉じて、開く。さっき警備ロボがいたところに、赤いすらりとしたロボットが立っていた。
「おいっ!大丈夫か?」
呆然と立ちつくす俺に駆け寄ってきたクイックが、心配そうに見上げてきた。
「うっ!」
「なんだ、どこか痛くしたのか!?」
いたわるように優しく俺の肩に触れ、あたふたするクイック。さっき目にもとまらぬ速さで警備ロボを蹴り飛ばしたとは、ここだけ見たら到底信じられないだろう。
「さっきの顔のアングルと表情がエロかっ…」
「くだんねぇ冗談かましてんじゃねぇよ!!」
警備ロボを吹っ飛ばしたのと同じ脚で、ちょっと痛い蹴りを俺のふくらはぎに入れてクイックがぷいっとそっぽを向いた。その背をそっと抱き寄せて、ぎゅうっと力をこめる。
「ありがとな。」
「場所をわきまえろよ。」
クイックがぺしりと俺の腕を叩いて、冷たく言い放った。腕を放すと、クイックがなぜか真っ赤な顔になる。うつむき加減に、ぽそりと呟いた。
「だから速く、二人で帰ろう…。」
その後の作業にやたらと時間がかかってしまったが、無事に二人で帰れたし、クイックが可愛かったからよしとした。