CPものです。付き合ってる感じです。Bの視点です。
ちゅーとかはないですが、CPものが苦手な人はご注意を。
よろしければ追記よりどうぞ。
水槽の中でぷくぷくと泡をはいて遊んでいた。もう深夜で、じきに消灯する。そんな誰もが眠っていると思われる時間に、ボクの部屋をノックするものがいた。水底をけって水面に顔をだす。どうぞと、言わないのにドアを開けて入ってきたのはメタルだった。ずいぶん余裕のない顔色で、ふらふらとボクの方に歩いてくる。あと二三歩の所まで来た時、きつい香りが嗅覚センサーをかすめた。あぁ、やっぱりまたかと思ったのとほぼ同時に、ざぶんという派手な音がボクの隣でする。しぶきを上げながら、頭からメタルが水槽にダイブした。底にぶつかって壊れちゃえ、とほんの少しだけ回路の端で思う。でもすぐにその思考はかき消され、メタルをすくい上げることがトップオーダーになった。小さく排気したあと、沈むメタルを追って水に潜る。ボクが水槽の半分まで行った時に、メタルの頭がごつんと鈍い音をたてて底にぶつかった。それからゆっくり、体が倒れて底に仰向けに倒れた。メタルと目が合うと、ふいっと逸らされる。かちんときた。
『ここは銭湯じゃないよ。』
傍らに膝をついて、冷たく言葉をかけた。メタルは依然としてボクと目を合わせようとしない。そして小さく何か呟いた。その言葉は、マスクの脇からごぽっとあふれ出した泡になって立ち上り、ボクに聞こえないままに消えてしまう。水中用じゃないメタルは、水の中ではしゃべれない。そっと背中を持ち上げて、メタルを肩に担いだ。ぐっと力をためて、思い切り底をけった。
ゴォー。ボク用の乾燥機の前で、機体を乾かしながらメタルが小さく呟いた。
「ごめん。」
毎度、浮気する度にこの言葉をはいている。それでももう二度としないとは言わない。そして今回も何度目か分からない浮気をしてきた。バスタオルを差しだしてあげながら、ボクも呟いた。
「いいよ。」
なのに、ボクはその度にメタルを許してしまう。乾燥機の前で、泣き出しそうな顔になりながらボクを見ていたメタルは、安堵したように笑った。なんでかは知らないけどメタルは、ズタボロに心を傷つけながらも恋をせずにいられないらしい。ボクを選んでくれて、ボクの所に帰って来てくれるけど、ボク以外の誰かの所にも訪れているのかと思うと、さよならと言ってしまいたくなる時もある。だけど、こんなに弱々しくボクにすがってくるメタルのことを、振り払うようなことはできない。それ以上に、メタルのことがボクは好きなのだ。どんな理由にせよ、メタルがボクを愛してくれているうちはボクからメタルに別れを告げることなんてできない。
「…ありがとう。」
くしゃっと、いい男台無しの情けない顔でボクに言いながら、そっとボクの額に唇を落としてきた。かつんと、マスクとメットがぶつかる音がする。君はなんてずるい奴なんだろう。避難を込めて強く抱きしめると、そっと抱き返された。