妹が書いてくれました。
披露宴が始まりました。
教会に行くのはこのあとになります。
よろしければ追記よりどうぞ。
結局、披露宴は十分遅れで始まった。渋々といった感じでエアーが司会をしている。
「つまらん。」
手元でメタルブレードをいじりながら、テーブルに頬杖をついて呟いた。隣の席で、一心不乱にそろばんを弾いていたバブルが言う。
「発起人が一番最初に飽きてどうするのさ。」
「私の生まれ持っての性質だからな、お前のソレと同じだ。」
そろばんを指しながら言う。違いないとバブルは頷いた。
「僕も飽きた訳じゃないけど、見るに堪えないとは思うよ。」
あれだもの…とため息をつくバブルの目線の先には彼らの弟が仲人席に並んで着いている。
赤い機体に黄色い機体飾りのクイックはごくごく楽しそうにE缶をつぎに来たジェミニなどと話しているが、となりの青い機体フラッシュは背を丸めてE缶を傾けその顔に覇気はない。
「クイックが?それともフラッシュがか?我が弟たちはいつもあんな感じだぞ。」
「エアーより先に君をつくったのは博士最大の失敗だよねぇ。」
バブルの言葉を聞いてか聞かずかメタルはよいしょとかけ声一つ立ち上がる。
「まあ何にせよ、ネタばらしを少しはやめるくらい良いだろう。」
「何で披露宴からなんだよ…それ以前に何でうちのジョーが…」
「いつまでぶちぶち言ってんだよ、そんなんだから万年はえかわり途中みたいな頭なんだぜお前。」
「今の俺ならお前のその意味の分からない喧嘩さえ買えるぞ。」
唸るフラッシュにクイックは普段からしたって珍しいくらいの満面の笑みを浮かべた。
一瞬フラッシュは怒っているのも忘れてその顔に見とれる。
「喧嘩はまた今度な。俺たちがこんな風に集まるなんて滅多にないんだし今日は結婚式だぜ?」
「滅多にってか初めてだろ。」
「お前の為に集まったんだからあとで感謝しとけよ?」
クイックの言葉に渋々頷いてからフラッシュはふとひっかかったように顔をあげる。
「俺の為に…?」
『ハイ!お集まりの皆さん式が盛り上がって参りましたが、ここで新郎新婦のお色直しをはさみます。皆さんしばしの間ご歓談ください。』
フラッシュの疑問は突如会場に響いたメタルの司会に遮られた。
「お、じゃあ俺花嫁が着がえるの手伝ってくるな。」
「は?おい待て仲人だからってお前が行くと布を破きかねないだろうが!俺が…」
立ち上がったクイックの手を思わずフラッシュがとる。
「フラあーッシュ先ぱあ一い!!…お酒足りてらっしゃいます?」
席に戻っていたはずのジェミニがフラッシュとクイックの間に湧いて出る。
その隙にクイックはするりと腕を抜いて行ってしまった。
「くいっ…!」
「駄目ですよ!花嫁の控え室は旦那さん以外の男性は入室禁止ですから!」
「待てっ!!クイックは男性型だろうが!!」
フラッシュのもっともなつっこみは、騒がしい会場から風のように消えたクイックには届かなかった。